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「感じない男」森岡正博

◆やさしい気持ちで満たす

 この本に関しては、週刊朝日で青木るえかという人がこれ以上ないくらい的確な書評を書いていた。こんな感じ。「なんか気持ち悪いな、気持ち悪いな、と思いつつ、それでもがんばって読了し、ぱたりと本を閉じたら、裏表紙に著者近影が。う。その写真には“ボクは東大卒の学者だけど、セクシュアリティやオナニーについても語っちゃうんだもんね”という念の入ったナルシシズムが感じられ、これをもってこの本は締めくくられるのであった(大意)」すばらしい書評。これがすべてを言い表してると思う。

 あとがきで著者はこんなことを書いている「この本をちくま新書に持ち込んだとき、最初は、女性読者をターゲットにするつもりだった。たぶん、女の人は、ここに書かれているような『男の秘密』をほとんど知らないだろうと思ったからだ」

 「男の秘密」って、ミニスカートの中はモロ見えではなくパンツを履いているであろうことで男は欲情するのだ、とか、男は性的に不感症で「感じる女」に嫉妬しているのだ、とか、ロリコンの男は実は自分自身が少女になりたがっているのだ、とか、男が女を支配したがるのは「感じる女」への復讐なのだ、とか、男は男である自分を汚いと思っている、とかいったことか? そんなこと、今さら「男の秘密」なんて勿体ぶって言うようなことだろうか? とうの昔に知ってるよ、みんな。所謂ウーマンヘイティングの基本じゃないの? ロリコン男が少女になりたがってる、というのも、おたく青年たち見てたら、今さら言われなくても自明だと思うけど。こういう「秘密」を女はほとんど知らないと思われてたなんて、女も見くびられたもんですね。女は知ってて知らないふりをしてるのだよ。そのほうが彼女らにとってトクだから。

 「小倉千加子は、著書のなかで、男は豊かな反応をする女に対して畏怖の念を抱き、『女のほうが男よりも数倍も気持ちいいんだ、男は単なる道具だ』と思い、不安を抱くようになると述べているが、たしかにそのとおりであろう」って引用されてるけど、小倉千加子は「ほとんど知らない女の人」の例外だというんだろうか。

 面白かったのは、自分がいかにゲイからモテたかを語った箇所。いやに文学的な筆致でもって、ゲイからアプローチされた恐怖の思い出を綿々と綴っている。べつに森岡氏に限らず、ゲイもて自慢をする男は多い。ご丁寧に「自分はゲイじゃないけど」とか必ず前置きをしてから、「ゲイに迫られた」「告白されて困った」と語る男はとても多い。もちろん本人は「自慢」という意識はなく、しばしば「気持ち悪いこと」として語るのだが、それはどう聞いても「自慢」にしか聞こえないんだな。きっと男も自分が「性的対象」として求められることが「ウレシイ」のだろう、そんなうきうきした感じに聞こえるのだ。森岡氏には次にはこのあたりを「男の秘密」として解明してもらいたいものです。

 しかしまあ、「性のパートナーがいないときには、マスターベーションした直後に、人々に対するやさしい気持ちを自分の心の中に満たしてみるといいかもしれない」とか、「男はよく、自分が母親の胎内から生まれたということを感慨深く語るが、自分が父親の射精から生まれたということに関しては、徹底的にそれを隠蔽する傾向があるように思われる」とかいった、爆笑できる文章はけっこうあるし(後者のほうなんか、かなりいえている)考えようによっては楽しい本である。ええと、森岡正博の読み方ってそれでいいんですか?

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