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無知だった私 最近お気に入りの番組「NHKアーカイブス」で、70年代の水俣病のドキュメンタリーを見た。 このドキュメンタリーを見たら、そのわけがよくわかった。合理的に押したってこの国はダメなのだ。「怨念」にならざるを得なかったというのが(今さらだが)よく理解できた。水俣病は単にチッソという会社の悪事が引き起こしたものではなく、行政がその罪に大きく荷担していたのだった。住民たちの主張は握りつぶされ続け、患者たちは何の補償もないまま差別され、放っておかれ続けた。 ふと気がついたのだが、この私の誤解とよく似たことを言っていた人がいた。知人のブルガリア人だ。彼は研究者として日本にしばらく滞在していたのだが、一緒にヤキトリ屋で食事をしながらこんなことを言い出した。 私が「それは韓国人なら普通持ってる感情だし、それなりの理由がある」と言うと「どんな理由だ」と聞く。私ははたと困ってしまった。日韓関係について何の知識もない人に向かって、いったい何から説明したらいいのだろう?しかも英語で。 とりあえず創氏改名などの同化政策について説明してみたが、彼はすかさず「それについて補償はあったのか」と聞いてきた。補償といえば、あの悪名高い「日韓条約」で日本の責任は一応「チャラ」ということになっている。日本は多額の金を払っているし、表向きは補償は済んでいることになっている。 物事は見た目より複雑だ。彼に事情をわからせるにはNHKアーカイブス2時間分が必要だったかもしれない。 ブルガリアにおける植民地政策が韓国と同じように徹底した同化政策だったかどうか私は知らないし、彼が東洋人を蔑視してるかどうかも知らない。ただ私は非常な徒労感を感じて吐き気がしてきて、もうその後二度とこのファックヘッドと話すのはやめてしまった。 水俣病のレポートはアナウンサーによる「その後の進展」コメントで締めくくられた。それを聞きながら、私はこの国の問題解決のやり方に対して暗澹たる気持ちを抱いた。これではまるで在日韓国・朝鮮人問題と一緒ではないか。 「遅々として進まない認定審査、そして高齢化していく未認定患者たち。解決の糸口さえつかめない膠着状態がその後も20年にわたって続きます。 しかし政府の解決策では行政の責任を問う裁判を取り下げることが条件になっていて、解決策を受け入れた多くの未認定患者たちにとっては苦渋の選択と言われました。 その反面、鹿児島県では去年、胎児性と見られる30代後半の男女2人が水俣病と認定され、半世紀近くも経てなお、胎児性の患者が新たに確認される事態が起きています。 「政治解決」にいきなり持ち込んだのは、マサコ様の祖父がチッソの重役だったからだと聞いたことがある。早く解決に持ち込んで今後文句を言わせたくない事情が国にはあったのだろう。 在日問題に関して私が釈然としないのは、政府が「なし崩し」を目指していることだ。法律が変わって母親のみが外国籍でも子供は日本国籍を取得することができるようになった。それに伴って在日韓国・朝鮮籍の人口は驚異的に減っている。そして老齢化した1世はどんどん亡くなっている。政府はそうやって、やんわりそーっとなし崩しに問題が見えなくなるのを待っているようだ。 「その、やんわりそーっと、というのが日本のいいところじゃないか、平和的で」とおっしゃる方もいるが、冗談じゃない。何事にもけじめをつけようとしない性向は、決して日本古来のものではないはずだ。責任の所在はいつもうやむや、くさいものにはフタ、を繰り返していては将来この国にいいことはない。 在日問題が解決するためには、皇族が在日の人と結婚するのが一番手っ取り早いかもしれない。そうしたら政府は慌ててとりあえずの解決に乗り出すことだろう。それくらいのことがなければ変わらないんだろうなあ……。 (追記) |