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花猫がゆく

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山歩き

 オンニが「山登りは好きか」と聞いたので、別にきらいというわけではない上に、韓国語で微妙な受け答えができないので「好きだ」と答えた。すると二人で山登りをすることになってしまったのである。

 テグの町中からバスに乗ってどんどん田舎へ。山あいでバスを降り、そこから少し登ってロープウェイに乗ろうということだった。ところがこのロープウェイが何かのトラブルのため止まっているという。大丈夫なんかいな? またええかげんに作ったロープウェイなんと違うんか?と訝ったが、オンニは復旧するまでしばらく待とうと言う。

 ふもとのベンチに座って待っていると、観光客のおばあさん達が登ってきた。何の躊躇もなく私たちの隣に座り、なんのきっかけもいらないままに、オンニと話し始めた。例によって他人との壁がない韓国人である。

 ロープウェイは20分ほどで復旧したが、私はまだびくびくものだった。漢河の橋を渡る時にもびびったが、これもコワイ。ふもとから見えるロープウェイは距離も長く、かなり急な斜面を登るものだった。ロープウェイはまるで遊園地の乗り物のようにファンシーなデザインで、それが恐怖をいや増させる。

 韓国人も日本人に劣らず「根性ババ」というか、列を抜かしたりする輩がいる。しかし敬虔なキリスト教徒のオンニは、進んでそういう人たちを先に送る。おかげで私たちの番はかなり後ろになってしまったのだが。こういう気持ちで日々を過ごすと、きっと幸福になれるのだろうなあと考える。宗教は間違いなく人を幸せにする。

 ロープウェイは進行方向後ろ向きの席だったため、高さがよけいに強調され、恐ろしい思いをしたが、無事に終点まで到着した。ここから頂上までは歩いて登るのだという。

地盤が違う

 しかし歩き始めてみると、これは私の考えていたようなハイキング的な山歩きではなく、りっぱな「山登り」だということがわかった。いやに道が険しいのである。韓国の山は日本の山と地盤の質がかなり違う。岩が多くて表面には削れた石や砂があり、ずるずる滑って歩きにくい。しかも岩を分けてヨイショと登りながらのトレッキングなのだった。

 山登りは決して苦手ではないのだが、これは滑らずに歩くだけで大変だった。なのにオンニはその滑りやすい地盤の上をスイスイと軽く登っていくのだった。彼女は本格的な登山好きだったのだ。
 しかしこの地盤の違い。やはり日本は雨が多いので木もよく成長するし、腐葉土も多くなるということなのだろうか。日本の山の豊かさを実感してしまった。

 頂上に着いてみると、そこにはちょっとしたカフェテリアもあるし、またそこにいる人たちも普段着で平気そうにしているので、ちょっと驚いた。私はこんなにへいこらして登ったのに。もしかしてもっと楽な別ルートがあるのかもしれない(と、思いたい)。

 頂上の岩場の上では、おじさん達が記念写真を撮っていた。韓国人が写真を撮るときのカッコのつけかたは、ケレン味たっぷりでおかしい。60年代の東映の俳優みたいだ。それにしても、相当危なっかしい岩場なのに、おじさんも若い女性も、平気でひょいひょいと飛び回ってる。もしかして、おかしいのは私のほうなのか?と思い始めた。こっちのほうが人として普通なのでは?

 あとで聞いた話では、オンニはインターネットで登山好きのサークルに入っており、定期的にそのグループと一緒に韓国中のあちこちの山に登っているらしい。数日後にはなんとかいうけっこう高い山に登りに行っていた。「いつか富士山にも登りたい」と彼女は言った。

 韓国の山の一番の美点はリスだと思う。帰りはロープウェイには乗らず、歩いて山を下りたのだが、木があるところにはリスがいる。いっぱいいる。高い枝の上を跳ね回っている。シマリスではなく、大ぶりのエゾリスみたいなやつだ。山にはもうあまり登りたくないが、リスはまた見たいと思う私なのだった。

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