花猫がゆく

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交通費が安い!

タクシーが130円

 大おば様たちと外出すると、ちょっとした距離でもすぐにタクシーを使う。日本ではほとんど自分の金でタクシーに乗ったことのない私はヒエーとびびる。でも降りるときに金額を見て気が抜けるのだ。1300ウォン(130円)なんだもん。そりゃしょっちゅう使えるよ。

 そういえば釜山の空港に到着したときも、空港から出た私たちを見つけてタクシーの運転手が客引きをしにわらわらと寄ってきた。釜山から目的地のテグまでは2〜3時間はかかる距離だ。そんな、タクシーなんて冗談言うな、何万円取られるか、と私は思ったが、母親はなにやら押しの強い運転手の交渉につき合っている。最初は母も当然鉄道で行くつもりだったのだが、交渉が成立してタクシーに乗ることになった。いくらで成立したか、値段は忘れたらが、飛び上がるほどの値段ではなかった。母はそれでも高めだと言ったが、鉄道だと階段を上がったり降りたりしなければならず、重い荷物を持って行くのは気が重いからこれでいいのだ、と言っていた。

 しかし帰国する時には空港のある釜山まで鉄道に乗らなければいけない。私の方が母より先に帰国する予定だったので、大おば様の家から最寄りの東テグ駅に前売り券を買いに行くことになった。ところが母と大おば様が当然のように自分たちも釜山まで一緒に電車に乗っていくと言うのだ。飛行場まで送ってくれるつもりらしい。「そんな、いいよいいよ。一人で大丈夫だから」と言ったのだが、絶対に行くと言ってきかない。テグから釜山までだと、日本なら数千円はかかる距離だろう。

 ところが、前売り券を買いに行ってみると、釜山までは何とたったの3700ウォン!うそー、370円?京都から大阪に行くより安いじゃん。しかも儒教の国韓国にはどこにも老人割引というのがあって、老人は2600ウォンである。すげー安い。気が抜けてしまった。これなら別に釜山まで送ってもらっても、全然気が重くない。

 韓国ではとにかく交通費が安いのだ。というか、生活必需品はどれも安い。洋服などは食費などと比べたらずいぶん高い気がした。日本の交通費もこれくらいの値段なら、もっと旅行とかしやすいのに。だって日本なら京都から関空まで2000円はする。駅までタクシーに乗ったらプラス1000円。韓国なら370円プラス130円だよ。この違い。

 ついでに鉄道の名前をひとつ。釜山方面は無窮花(ムグンファ)号(無窮花は韓国の国花)。釜田(プジョン)方面は統一(トンイル)号、ソウル方面はセマウル(新しい村)号。風情あるでしょ。

 釜山までの鉄道の旅はのんびりと楽しかった。田園地帯を通り抜け、釜山に近づくと大河が広がり、その川に沿って列車はえんえんと走り続ける(川の名前は聞いたけど忘れてしまった)。韓国の田園地帯にはいわゆる堆肥というのか、はっきり言って糞の臭いがする。有機農法だ!と私は喜んでしまうが、農家はけっこう貧しいのかもしれない。

 だらだら続いた私の韓国レポートも、この辺で一応終わりにしようかと思うが、おまけ話をもうひとつ。帰りの飛行機の中で隣にかなりいかついおじさんが乗っていた。フレンドリーな雰囲気はまるでなく、スチュワーデスにも「新聞をくれ」と英語で言ってたし、韓国人ではないと思っていた。そのおじさんが、もう関空が見えてきた頃に「日本人か?」とか何とか英語で声をかけてきた。それでしばらく話していたのだけど、それでもおじさんにはにこやかさというものがない。いかつい顔のままで、自分は日本で歯を全部インプラントにしたのだ、と口をあんぐり開けて歯を見せてくれる。何でも奈良に有名な先生がいて、その人にしてもらったそうだ。今回も会いに行くのだ、と言っていた。

 おじさんは釜山の人で、アメリカで大学に行き、ヨーロッパに何年か住んでいたと言う。英語もきれいだったし、本当なのだろう。今度韓国に来るときはぜひ連絡をくれ、食事でもおごるから、と相変わらずいかつくて笑顔のない顔で言った。おじさんのくれた名刺には「釜山廣域市柔道會・名誉会長・鄭○○」と書いてあった。うーん、やっぱりいかつい。

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