花猫がゆく

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踊り踊るならPCバン

ノレバンとPCバン

 韓国人という人たちは、本当に歌舞音曲が好きだ。東洋のラテン、といわれるのもむべなるかな。踊り狂うおばさん達の群れというのを、私は生まれて初めて見た(詳しくは「ポンチャックバスで行こう」参照)。

 町を歩いていて多いのは、まず何と言っても「ノレバン」。これは韓国版カラオケボックスで、直訳すれば「歌の部屋」。歌好きの国民性ゆえ、当然ですね。そして今をときめく「PCバン」(インターネットカフェ)。これはもう、テグのような地方都市でも、数十メートルおきにあるというくらい、たくさんある。

 何でもここ数年にリストラされた中高年の転職先の筆頭は、PCバンのフランチャイズ経営者だというのだからひっくり返りそうになる。さすが国策としてのIT戦略である。

 で、話は飛ぶが、帰国の前日にそのPCバンに行ってみた。オンニがどこか行きたいところはないかと聞くので、ノレバンかPCバンと言ったのだ。でもさすがに「歌は聖歌しか歌えない」というオンニと一緒にノレバンに行くわけにもいかず、PCバンに行こうということになった。ホントはひとりで行くつもりでいたのだが、そこは韓国人、絶対にお客様にひとりで歩かせない。

 ところでオンニのような理想的主婦であり嫁である人でさえ、パソコンは持っている。もちろんインターネットだってしちゃう。彼女は週に2回、パソコンを習いに行ってるとのことだった。ビギナーレベルではあるが、それでも「国民皆IT」の印象は強い。
 そういえば、家の向かいの(ということは教会の隣の)ビルの3階にも新しくPCバンがオープンするということで、同じ日に機材を運び込んでいた。

 徒歩3分くらいのところにあるPCバンに入っていくと、店員のお姉さんがひとりいるだけで、お客さんは誰もいなかった。平日の午前中だから無理もないか。テレビで見たソウルの大きなPCバンは明るくておしゃれな喫茶店みたいな雰囲気だったが、ここは地方都市らしく、薄暗くてちょっとうらぶれた雰囲気。韓国のPCバンは半分がパソコン、もう半分はゲーム専用機である。店番のお姉さんはひとりゲームをしていた。

 機械は新しいし、居心地もまあまあ。夕方はきっと中高生たちで混むのだろう。これだけ夥しい数のPCバンがあっても(しかも昼間はこんなにヒマでも)経営は成り立つのだろうか。ちなみに料金は1時間100円ほどだろうか、当然、安い。

「ダンスダンスダンス」もとい「パッチもんをめぐる冒険」

 歌舞音曲の一方の雄である「踊り」だが、意外なところで発見した。
 ノレバン、PCバンに次いで目に付いた「ゲーセン」である。ゲーセンは韓国語で「娯楽室」と言うらしいのだが、この店頭に何とあの、ダンスダンスレボルーションがあったのである。まあ踊り好きの韓国人が放っておくわけないわな、と思う。うーん日本文化。

 このゲームは人気があるようで、常に若い子たちが台の上に乗って踊って(?)いる。風景としては日本のゲーセンと変わりない。だが近くに寄ってみると、微妙にちょっと違うのである。第一音楽が韓国語の歌だ。

 まあ例によって日本製品のコピー商品、パッチもんだったわけ。歯ブラシと一緒。よく見るとその機械には「ダンスQ」だか何だかインチキな名前がついていた。ほほえましいことである。

 と思ってたら、この間(2001年6月)こんなことを聞いた。
 ダンスダンスレボルーションを製造しているコナミは、去年やはり、DDR商標権を侵害したとして韓国のゲームメーカーを訴えていた。そして今年コナミは勝訴し、コピー商品の製造、販売は中止になったということである。

 今まで表向きは日本文化の輸入は禁止されていたので、かえってコピー商品は作り放題だったのだ。それが日本文化解禁のため厳しくなってしまった。だって本チャンを公明正大に使ってくれればいいわけだから。意外な副産物といえる。

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